2023年3月改定版
10年後の淑女たちへ
日本では毎年およそ1万人の女性が子宮頸がんになるといわれています。

そして、約3000人が子宮頸がんにより亡くなるそうです。

特に、20代、30代の女性に子宮頸がんが急増していることから、若い女性の妊娠・出産にも影響が出ていることが問題となっています。

子宮頸がんはウイルス(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因で起こります。

このウイルスはとてもありふれたウイルスなので、誰もが一生に1回くらいは感染してしまう可能性があります。

ただし、このウイルスに感染したからといって、感染した人すべてが子宮頸がんを発症するわけではありません。

感染しても自然に消えてしまうのですが、一部の方でがんを発症することがあります。

現在、どのような人ががんを発症するのかは、わかっていないため、感染を防ぐことが重要です。

ウイルスの感染はワクチン接種で防ぐことができます(正確には5~7割の子宮頸がんを予防できるとされています。)

ウイルスの感染は性的接触により、誰もが感染するので、早めのワクチン接種が推奨されています。




<現状>


子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の種類は現在3種類あり、2価のサーバリックス、4価のガーダシル、9価のシルガード9があります。定期予防接種等で使用できるのは2価と4価のみでしたが、2023年4月から9価のシルガード9が公費で受けられるようになります。

<9価ワクチンとは?>


価数とは、何種類のタイプのウイルスに対応するかを示し、9価ワクチンは高リスクの9種類のウイルスに対応します。
特徴は、2価や4価のワクチンよりも多くの型を標的としており、子宮頸がんの約90%を予防するとされています(2価・4価は約60〜70%予防)

HPVワクチンは、2価・4価・9価いずれも3回の接種が必要で、同じワクチンで3回の接種を完了することが原則となっています。ただし、医師とよく相談した上で、2価や4価で1〜2回目を終えた人が、残りを9価で接種することが認められています。

9価ワクチンの接種パターン

価数 2価
ワクチン名 サーバリック
対応する
ウイルスの型
定期接種開始
(公費対象)
2013年4月

価数 4価
ワクチン名 ガーダシル
対応する
ウイルスの型
定期接種開始
(公費対象)
2013年4月

価数 9価
ワクチン名 シルガード9
対応する
ウイルスの型
定期接種開始
(公費対象)
2023年4月

<9価ワクチンの交互接種について>


HPVワクチンの接種は同じ種類のワクチンで接種を完了することを原則とします。医師と被接種者等がよく相談した上であれば、交互接種(初回接種とそれ以後の接種を異なるワクチンで接種)が可能です。

交互接種を行う場合は、9価の接種方法に合わせて1回目と2回目の間隔を1カ月以上、2回目と3回目は3カ月以上空けることとなります。

なお高校1年生は、年度末の3月末までに接種を終了しないと、定期予防接種対象外になり、自己負担が発生してしまうので、おそくとも9月には接種開始しましょう。 ただし、2006年度・2007年度生まれの方は、定期接種の年齢を超えても公費接種の対象となるため、2025年3月末まで接種できます。

<当院の対応>


2023年4月以降からは当院でのHPVワクチンは基本的に9価ワクチンのガーダシル9とさせていただきます。現在、2価・4価ワクチンを1回又は2回接種している方は以下の通りおすすめします。

▼2価・4価ワクチンを1回接種済み
→ 残り2回は4月以降に9価ワクチンを2回接種

▼2価・4価ワクチンを2回接種済み
→4月以降に9価ワクチンを2回接種(1回は公費で、もう1回は自費)
*ただし、9価ワクチン1回のみの接種でも効果がないわけではありません。

9価ワクチンの接種パターン

ワクチン
接種回数
2回
接種済み
1回
接種済み
未接種
1回目 2価/4価 2価/4価 9価
2回目 2価/4価 9価 9価
3回目 9価 9価 9価
4回目 9価(自費)
備考 4回目接種
は自費

<キャッチアップ接種について>


接種を逃した世代(1997年4月2日〜2006年4月1日生まれ)の女性も2025年3月まで、無料で接種可能です。無料接種の期間は2024年度までとなっています。呼びかけを中止していた期間に自費で接種した人についても、自治体に申請すれば払い戻しが受けられるので自治体などに確認しましょう。なお、キャッチアップ対象者も2023年4月以降、9価ワクチンを公費で接種することができます。


キャッチアップ接種
対象 1997年4月2日~2006年4月1日生まれの女性
接種期間 2024年度まで
払い戻し 中止期間に自費接種の場合、申請で払い戻し可能

<9価ワクチン よくあるご質問>


Q. 2023年3月迄が定期接種対象(現在高校1年生)です。あと1回の接種が残っているのですが、どうしたらいいですか?

A. 現在高校1年生と中学3年生(2006年度・2007年度生まれ)の方は、通常の接種対象の年齢(小学校6年から高校1年相当)を超えても、2024年度まで接種できます。当院では4月を待って9価ワクチンの2回接種をおすすめしております。この場合、4回目は任意接種かつ自費となります。9価ワクチン1回のみの接種でも効果は期待できますので、4回目接種は各自ご判断願います。


Q. 9価ワクチンが公費になるまで待っても良いのでしょうか?

A. HPVワクチンは性交渉を経験する前の接種が極めて重要です。1回の性交渉でも感染する場合がありますので早めの接種が大切です。性交渉がまだ想定されない場合はこの限りではありません。お子さんとよく相談した上で接種のタイミングを決めましょう。


Q. すでに2価/4価ワクチンを3回接種したけど、9価を追加接種したほうが良いのでしょうか?

A. 任意での接種は可能です。ただし、積極的な追加接種は推奨されていません。理由は、子宮頸がんに最も関与の強い型であるHPV16/18型の感染予防については2価/4価ワクチンでも十分に効果があることや、異なる種類のワクチンを接種した場合の有効性と安全性についてのデータが限られているからです。


Q. よこやま内科小児科クリニックではいつから9価ワクチンの予約・接種ができますか?

A. 以下をご確認ください。
▼予約開始
WEB→3月2日 / 電話→3月3日
▼接種開始
4月3日(月)
※接種希望の3診療日前までにご予約ください。


Q. 自費で9価ワクチンを接種するときの費用はいくらですか?

A. 1回で26,400円(税込み)となります。
3回接種が基本となりますので、合計金額は79,200円となります。

<その他HPVワクチン よくあるご質問>


Q. HPVワクチンは何歳から接種が望ましいですか?

A. 公費接種開始後なるべく早くに接種することをおすすめします。
子宮頸がんの患者数は20代後半で急増し、40代でピークを迎えます。すなわち、HPVに感染してからがん化に至るまで数年から数十年後のタイムラグがあります。ですので、ワクチン接種の時期が早すぎるということはありません。すでに感染しているHPVを排除することはできません。子宮頸がんを予防するには、HPV感染リスクのない、性交渉を経験する前に接種する必要があります。


Q. 性交渉の経験があっても、HPVワクチンによる感染予防効果はありますか?

A. ある程度期待できます。しかしながら、年齢が高くなるほどワクチンで防げるHPVの型にすでに感染している可能性が高まります。キャッチアップ接種対象外(1996年より前の生まれ)の方でHPVワクチンの接種を希望される方は、医師との相談の上で接種を検討します。


Q. 男性も接種可能ですか?

A. 自費での接種が可能です。HPVは男性の肛門がんと尖圭コンジローマなどの原因にもなります。接種することでこれらの予防効果が期待できます。


Q. ワクチン接種当日の持ち物・服装は?

A. 以下をご持参ください。
①予防接種予診票
②健康保険証

*定期接種の予診票がお手元にない場合は、住民票がある市区町にお問い合わせください。
(栃木市在住の方 健康増進課 予防係)
TEL 0282-25-3511

任意接種・定期外接種に関しての予診票は当院にお問い合わせください。

接種部位には主に、腕の肩に近い外側の部分(三角筋)が選ばれるので、接種当日はこの部分を露出しやすい服装でお越しください。

HPVワクチンに関する詳しい情報につきましては、下記サイトもご参照ください。

厚生労働省
日本産科婦人科学会
みんパピ!

特に高校1年生は、年度末の3月末までに接種を終了しないと、定期予防接種対象外になり、自己負担が発生してしまうので、おそくとも9月には接種開始しましょう。

早めのワクチン接種と20代からの子宮頸がん定期健診で、感染予防と早期発見に努めていただけたらと思います。
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