概要
肺炎球菌という細菌によって発生する感染症で、ほとんどが5歳未満で発生します。特に乳幼児での発生に注意が必要です。高齢者を含め、誰もがかかる危険性のある感染症ですが、集団保育の子どもは2～3倍ほど、感染しやすいと言われています。また、集団生活が始まると、ほとんどの子どもが感染するとも言われていて、主に気道の分泌物により感染を起こします。

何らかのきっかけで、肺炎や中耳炎、敗血症、髄膜炎等になったり、あるいは血液中に菌が侵入すると、重篤な状態になることがあります。特に2歳以下の子どもは肺炎球菌に対する免疫がほとんどなく、重症化するリスクが高まります。

症状
咳やくしゃみなどの上気道症状がみられることが多いですが、脳やせき髄に流れる髄膜に菌が入りこむ細菌性髄膜炎、血流の中に菌が侵入する菌血症、菌が全身に回り、重い症状に陥る敗血症、その他、肺炎や、細菌性中耳炎などの病気を引き起こしたりします。

感染経路
肺炎球菌自体は、のどの奥や鼻にいつも存在する菌で、咳、くしゃみなどにより飛沫感染します。 乳幼児期には、保育園などの集団生活で感染したり、兄弟間、家族間で感染したりします。

治療
抗菌薬による治療を行いますが、近年では、菌の薬に対する耐性が強くなっており、抗菌薬で治療が困難な症例が増加しており、大きな問題となっています。また、重症化した場合は、入院などによる全身管理が必要になる場合もあります。

予防
肺炎球菌感染症は、小さなこどもがかかる病気の中でも、非常に重大で、命にかかわる病気ですが、ワクチンを接種することで予防することが出来ます。接種期間は生後2か月から5歳までとなりますので、期間内に接種を行いましょう。肺炎球菌による髄膜炎の起こりやすい生後6か月までに初回3回の接種を済ませておくようことが大切です。

2011年に、ワクチンの公費助成が始まって以降、肺炎球菌による細菌性髄膜炎は71％減少しました。肺炎球菌感染症はワクチンを接種することで予防できる疾患、すなわち「VPD：ワクチンで予防可能な病気」の一つであり、ワクチン接種をすることが非常に重要になります。