<概念>
インフルエンザ(influenza)は、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症「かぜ症候群の一つ」とされていたが、現在は「重くなりやすい感染症」として、一般的な風邪とは区別をしています。

インフルエンザウイルスには、A型・B型・C型・D型の4種類があり、そのうちA型・B型は季節性インフルエンザの病原ウイルスです。

C型は近年分離同定されるようになり、主に小児の間で流行すると考えられています。D型は豚や馬など主に家畜に感染をおこします。

季節性インフルエンザは全ての年齢層に対して感染し、世界中で毎年繰り返し流行し、日本を含め北半球の温帯では、11月下旬から3月頃に流行します。また夏にも流行することがあります。
<症状・診断>
一般的な風邪の症状としては、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳等の上気道症状が中心でこの点はインフルエンザも共通ですが、インフルエンザの特徴として38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の全身症状が比較的急速に現れます。

小児の脳症や高齢者や免疫力が低下している方の肺炎など、重症化することもあります。

診断は、通常インフルエンザ迅速診断キットで使用しますが、検体の採取時期や採取方法により、はっきりしないこともあり臨床症状・身体所見や流行状況等を総合して診断します。

厚生労働省のガイドラインでは、迅速診断キットはあくまでも診断の補助的な役割としています。
<治療法>
インフルエンザに対する治療薬としては、

・オセルタミビルリン酸塩        (商品名:タミフル等)
・ザナミビル水和物           (商品名:リレンザ)
・ペラミビル水和物           (商品名:ラピアクタ)
・ラニナミビルオクタン酸エステル水和物 (商品名:イナビル)
・アマンタジン塩酸塩          (商品名:シンメトレル等)(A型にのみ有効)
・バロキサビル マルボキシル      (商品名:ゾフルーザ)

以上6種類の薬剤があり、適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1~2日間短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量も減少します。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。
<生活における注意点>
インフルエンザを予防する有効な方法としては、以下が挙げられます。

1)流行前のワクチン接種
インフルエンザワクチンは、感染後に発症を低減させる効果(有効率60%)と、発症した場合の重症化防止に有効とされており、日本では毎年4000万人を超える方が接種をしています。

2)外出後の手洗い・うがい等
流水・石鹸による手洗いは手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法であり、うがいも喉についたウイルを洗い流す効果があり、インフルエンザに限らず接触や飛沫感染などを感染経路とする感染症の対策の基本です。インフルエンザウイルスにはアルコール製剤による手指衛生も効果があります。

3)適度な湿度の保持
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。乾燥した室内環境ではウイルスが浮遊しやすくなるので、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。

4)十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
体の抵抗力を高めることが重要で、十分な休養や睡眠とバランスのとれた栄養摂取が効果的です。

5)人混みや繁華街への外出を控える
インフルエンザが流行してきたら、特に御高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調の悪い方、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。外出をしなければならない場合には、ある程度、飛沫感染等を防ぐことができる不織布(ふしょくふ)製マスクを着用するなどの対策をおすすめします。