概要
Hib感染症は、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌によって発生する感染症で、そのほとんどが5歳未満で発症し、特に0~1歳の乳幼児では重症化しやすいと言われています。主に気道の分泌物(鼻汁や痰など)により感染を起こし、症状がないまま菌を保有して日常生活を送っている子どもも多くいます。誰もがかかる危険性のある感染症ですが、集団保育の子どもは2~3倍かかりやすいと言われています。

症状
ヒブは、のどや鼻から体内に入ることで感染します。咳やくしゃみなどの上気道症状がみられることが多いですが、何らかのきっかけで、病状が進行すると肺炎、敗血症、髄膜炎、喉頭蓋炎、中耳炎等の重篤な疾患を引き起こす可能性があります。新生児の敗血症や乳幼児の髄膜炎は診断が難しく、また髄膜炎の後遺症として発達や運動障害、難聴などになることもあります。

喉頭蓋炎になると重症化し、窒息して死に至ることもあります。変異によって抗菌薬が効かない菌も多く、治療は困難です。死亡する確率は2~5%で、重症例ではおよそ30%の子供に脳の後遺症が残ります。また、後遺症が無いように見えても、中学生になった頃に軽度の知能低下が判明する事もあります。

感染経路
患者の咳やくしゃみなどの飛沫に含まれる細菌による感染が主な感染経路です。

治療
基本的には対症療法となります。熱がある場合は解熱剤、痰がでる場合は痰を切る薬の処方などの対応です。髄膜炎になってしまった場合は、抗菌薬を投与します。

予防
ヒブワクチンで予防できます。生後6か月以降から感染する赤ちゃんが増えるので、生後2か月の誕生日を迎えたら、できるだけ早く接種しましょう。ヒブワクチン導入前の日本では、細菌性髄膜炎は年間約1000人が発症しており、その約60%がHib感染症によるものでした。ワクチン接種により、重篤なHib感染症にかかるリスクを95%以上減らすことができると報告されています。

Hib感染症はワクチンを接種することで予防できる疾患、すなわち「VPD:ワクチンで予防可能な病気」の一つであり、ワクチン接種をすることが非常に重要です。